吉井和哉さん本人が2009年4月号の「MUSICA」で、
バンドが終わる典型の曲
と評した名曲。
それが解散前最後のオリジナルアルバム「8」に収録された曲
「メロメ」
ストリングスのみで構成され、悲しさや寂しさ、絶望と言った情景が瞼に浮かぶ曲となっています。
でももう解散しない宣言ももらえたし、充電期間であっても吉井さんは新レーベルを立ち上げるなど精力的に活動している今こそ、
メロメの歌詞に秘められた意味を(勝手に)探してみてもいいのでは…?
そんな思いにかられたので、このページを作ります。
THE YELLOW MONKEY「メロメ」の歌詞
メロメ
作詞 吉井和哉
作曲 吉井和哉
唄 THE YELLOW MONKEY北国へ行くバスに乗って
いらだちを凍らせに行こう
少しぬるいカプチーノ飲み
ゆらりゆられて
猛毒の花びらの上で
行きづまる天道虫は
背中の星はがしながら街を出たのにもう愛はトゥモロウヘ
もう愛はトゥモロウヘ
白い道 冬の固い青空
もう愛はトゥモロウヘ
もう愛はトゥモロウヘ
ついてゆくついてゆく後から
メロメ…MDとバストアップのPHOTO
それとあとここじゃ言えない物を
少し笑顔残すために持って出たのにもう愛はトゥモロウヘ
もう愛はトゥモロウヘ
刺す風がなんとなくボサノヴァ
もう愛はトゥモロウヘ
もう愛はトゥモロウヘこのままじゃ君の事忘れられない
半分溶けた雪だるま そんな感じさもう愛はトゥモロウヘ
もう愛はトゥモロウヘ
空白の雪の玉投げたらもう愛はトゥモロウヘ
もう愛はトゥモロウヘ
ついてゆくついてゆく後から
メロメ メロメ メロメ…
新約聖書に登場し、異常な存在として扱われる「サロメ」から作られた造語「メロメ」という曲名を関するこの曲。
「メロメ」の歌詞の意味を探してみる
「バンドが終わる典型の曲」と「再スタートを印象付ける曲」
最初にこれだけは書いておかねばと思いますが、
- バンドが終わる典型の曲:メロメ
- 再スタートを印象付ける曲:天道虫
共通する歌詞があることなどからもこの関係性はしっておいて頂きたい。
以前思いのたけをぶつけたページがあるので、そちらを一度ご覧いただけると「メロメ」に対してもより思い入れいただけるものと思います。
メロメを聞いて思い浮かぶ情景
聞いた人が100人いれば100通りの印象があるとおもうので、「メロメ」を聞いて私が抱いた印象・情景を共有することから始めます。
服装はライブの時の艶やかなものではなく、革ジャンを着た上下真っ黒。
バッグの類はもっておらず、古ぼけたバスの後ろから3列目に乗っていて他の乗客は前の方にひとり。
バスの外は荒涼とした風景。
廃墟や朽ち果てた家屋が並んでおり人の気配は感じられず、次第に雪が舞い始めた。
吉井さんの手に持っているカプチーノのサイズはMサイズ。
乗り始めてすぐにバスが故障し、簡易の修理を行っていた際に近くにあったカフェで購入したもので、ずっと持っていたはずなのに口をつけるのを忘れていた。
飲んでみるとまだ熱さは感じる。
でもそれは自分が冷えているからなのかもしれない。
北国へ行くバスなので、本来であれば夜行バスみたいな大きい感じのバスがイメージされるはずなのですが、なんでか古ぼけた海外でよく見るようなバスのイメージ。
そして、カプチーノはMサイズです。
Lとかグランデサイズだと物悲しい雰囲気がでないし、Sサイズだと吉井さんの手にすっぽり収まってしまい私のイメージと合わないため。
当時のTHE YELLOW MONKEYの状況を考えず、ただメロメを聞いて考えた場合の歌詞の意味
この曲に歌われている主人公を吉井さんだと考えず、ただの登場人物としてまずは歌詞の意味を探してみます。
この人物は自分を律することができ、癇癪をおこしたり周囲に当たり散らしたりしない優しい人なのでしょう。
私生活だって犠牲にして。
だからと言ってそんな生活に怒りや不満を感じないわけではなく、氷の心を手に入れるために旅にでる。
そんな人物のことを表現する言葉として、
いらだちを凍らせに行こう
少しぬるいカプチーノ飲み
背中の星はがしながら街を出たのに
このあたりの歌詞が存在しているように思います。
いらだちを吐き出す、解消するのではなく「凍らせ」てしまう人。
「カプチーノ」という表現もブラックコーヒーを使った場合と違い、音も字面も意味合いも優しい印象を与えてくれます。
そして「カプチーノ」からミルクを取り除いてしまった場合はエスプレッソとなり、ブラックコーヒーよりも濃くて苦いというのも本質をついている感じがして面白い。
そして自己犠牲を表現する「天道虫」の星。
「はがしながら」という言い回しから、誰かにやられたのではなく「必要に迫られて自分でやった」ということがうかがえます。
優しさだけでなく忍耐力を備えた人の姿かここにはあります。
もう愛はトゥモロウヘ
この歌詞も、
=もう届かない、手に入らないものになってしまう
という意味に私はとらえているので、心が凍っていく描写のひとつかな?と考えております。
そして、
冬の固い青空
吉井さんはここで冬の青空を「固い」と表現するのです。
雪が舞って美しいではなく、青空なのに凍り付いているかのように固い。
主人公の心情を表すかのようです。
ついてゆくついてゆく後から
メロメ…
メロメ(≒サロメ)が誰なのか。
- 第三者としてメロメ(≒サロメ)がついてくる=自分の首を狙っている
- 自分自身がメロメ(≒サロメ)=どんなに異常なことであっても言われるがまま行動する
今までここに書いてきた登場人物像からすれば、後者と捉えるのが自然かもしれません。
物事をうまく進めるためならどんな苦汁も飲む=自分を犠牲にしながら言われるがまま行動する
本人にそんなつもりはなくとも、「物事を円滑に進める人」というのは上司からの覚えがめでたいもの。
どれだけ自分を犠牲にし、途方もない努力の結果で物事をうまく進めているかなどおかまいなしに。
そういう人間が実際問題存在する以上、前者の可能性もあるのです。
MDとバストアップのPHOTO
ここの歌詞が私は一番好き。
MDについて明言されている件については、エヴァンゲリオンの碇シンジさんが良いことを言っています。
耳を塞ぐと心も塞がるんだ 。嫌な世界と触れ合わなくて済むからね。
どうしたって外界とつながってしまう耳という器官。
MDで音楽を聞くことで人の声も物音も聞こえなくなる。
バストアップのPHOTOに関しては、曲後半の歌詞
このままじゃ君の事忘れられない
ここから、別れを告げた恋人または配偶者の写真と読み取れます。
一緒にいたくても「こんな人間からは解放してあげないと」と、そう思うのも主人公のやさしさの一旦なのでしょう。
そんな人物を歌った曲と読み取ります。
当時のTHE YELLOW MONKEYの状況を考え、バンド解散を象徴する曲としてメロメを考えた場合の歌詞の意味
もったいぶりましたが、基本的にはバンドの状況を考えずに、ただメロメを聞いた場合と大体同じです。
前述した優しい人が吉井さんになるのかなと思う。
THE YELLOW MONKEYというバンドを一番のバンドとするため、書きたい曲・弾きたい曲を押し殺して曲を作り続ける。
売れる曲を作る
そんな己の信じるロックンロールとは違う、ずっと前の自分が見たら「異常」だと思う行為を言われるがまま実行する。
そんな自分の行為を、糾弾するようなファンもいた。
もちろん本来の自分たちを愛してくれているからこそなんだろうけど、今まで通りにできないジレンマとともにその声が自分を苛む。
そんなときに、レコーディングは自分しかいない状況が多い。
当時の吉井さんだったとすると、きっとメロメは吉井さんだったんでしょう。
勝手な推察ながらこれが私がみつけたメロメという曲の歌詞の意味です。
【イエモン】バンドが終わる典型の曲「メロメ」の歌詞の意味を探してみるの総括
総括としては、当時の吉井さんの心情や状況が反映された曲だと思います。
ストリングスのみの曲、悲しい曲、バンドが終わる典型の曲
この曲を表現する言葉はたくさんあるかと思いますが、吉井さんの思いを表現した曲であるから、
「メロメ」もロックなのだと思います。
吉井和哉ソロの曲やイエモンの曲の感想、考察もしています!
メジャー、マイナー関係なくイエモン関連の曲で
そう思っていただけるように更新していますので、ぜひご覧ください!
- JAM
- 天国旅行
- 天道虫とメロメ
- Balloon Balloon
こういった曲についても記事を書いています!
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