
雰囲気・テイク・歌詞・メロディを含めてYOSHII LOVINSONの作品中でベスト3に入る曲
出典:http://kansai.pia.co.jp/interview/music/2013-02/yoshiikazuya-18.html
吉井さん本人がそこまでの自信を持ち、ファンからも人気が高い曲が、
WANTED AND SHEEP

YOSHII LOVINSON(吉井ロビンソン)【WANTED AND SHEEP】の歌詞確認!
WANTED AND SHEEP
作詞 YOSHII LOVINSON
作曲 YOSHII LOVINSON
唄 YOSHII LOVINSON痛いほどの夕焼けに無精髭は光る
彼も君と同じように羊を連れている訳ありのウォンテッドアンドシープ
焚き火するウォンテッドアンドシープ逃げることの目的は生きるためただそれだけ
ガーネットタウンで出会った娼婦のナイロンを引き裂いて
生きてる体を確かめた沢山出るウォンテッドアンドシープ
汗だくのウォンテッドアンドシープ
憧れるウォンテッドアンドシープ
星は降るウォンテッドアンドシープさらばロンリー命中だぜ
砂漠の上 大の字で囲まれるウォンテッドアンドシープ
蜂の巣のウォンテッドアンドシープ沢山出るウォンテッドアンドシープ
血まみれのウォンテッドアンドシープ
憧れるウォンテッドアンドシープ
星は降るウォンテッドアンドシープ朝が来るウォンテッドアンドシープ
鳥が来るウォンテッドアンドシープ
骨になるウォンテッドアンドシープ
ほくそ笑むウォンテッドアンドシープ

最初に聞いた時は、なんとなく荒野が舞台のように思っていたのですが、そうでもなさそうなので歌詞の意味を解釈(独自)していきます。
【WANTED AND SHEEP】の歌詞の用語確認!
より深く理解するために用語の確認

羊という生き物
羊という生き物について詳しく知っている方は少ないので、補足しておきます。
羊という生き物は、
- 毛は高い保温性と伸縮性をもち、さらには湿気をよく吸収するうえ、ある程度の撥水性も兼ね備える
- 皮は軽く、柔らかい。加工することで羊皮紙としても使える。
- 乳はヤギに比べ脂肪とタンパク質が多い。
- 肉はビタミンを多く含み、大豆などと比べても非常に良質なタンパク源となる。

さらに羊は草だけでなく、樹皮や木の芽、花も食べることから、餌に関しても手がかかりにくい。
そして極めつけが、
ヒツジは非常に群れたがる性質をもち、先導者に従う傾向がとても強いとされている。
相棒として(群れて)行動するのに向いているということです。
ガーネットタウン
ガーネットタウンは実在する場所です。
アメリカのモンタナ州にある、かつて町だったところ。

かつては1800年ごろは鉱山の町として1000人ほどが暮らしていたところ。
ガーネットタウンがあったところの標高は、約1,800m(6,000フィート)

ゴーストタウンになってから行かれた人が写真を撮ってくれているので、参考に貼っておきます。

ナイロン
1935年にアメリカのデュポン社のウォーレス・カロザースが合成に成功した合成樹脂。
始めは繊維として使われ、女性用のストッキングに多く用いられた。
- ナイロンが製品化されたのが1942年。
- ガーネットタウンが完全にゴーストタウンになったのが1912年ごろ。
これをそのまま受け入れると、ゴーストタウンに娼婦がいることになるので、今回は
ナイロン=ストッキング
として解釈します。
ストッキング自体は、古代ローマ時代からその原型となるものが存在し、16世紀中頃には南蛮貿易で日本にメリヤスゴウズという手編みのストッキングのようなものが入ってきているので、存在してもおかしいことはありません。
星が降る=流れ星
今でこそ、「流れ星に願えば願いが叶う」ということが言われますが、
元々は世界各国で「凶兆(よくないことが起こる前ぶれ)」とされていました。
残っている文献などでは大体が「死の予兆」
【WANTED AND SHEEP】の歌詞の意味考察&用語の確認!
お尋ね者の息子が父のことを探る旅で知ったことの話

この「WANTED AND SHEEP」という曲の主人公となるのは、その曲名の通り
お尋ね者の男と羊です。
WANTED
:お尋ね者
SHEEP
:羊(単数形)
=お尋ね者と羊
そして、この一人と一匹はすでに故人。
この歌は、
語り手となる人物から、お尋ね者の息子が自分の父親の話を聞く
という歌です。
根拠としては、
痛いほどの夕焼けに無精髭は光る
彼も君と同じように羊を連れている
彼はお尋ね者のことを指しているのは明白。
注目すべきは「君」という部分で、
- 君と呼ばれる=年齢としては若いと想定される
- 「君」に語りかけている、お尋ね者のことを知る無精髭の男
この「君」にたいして無精髭の男が語っている内容が、曲の大半で歌われているWANTED AND SHEEPのこととなるわけです。
なぜ、この「君」が息子としているのかは後述しますが、
同じように羊を連れている
知らずとも父子は似るというのも理由のひとつです。
生きるために逃げ出したWANTED AND SHEEP

何かをしでかしたのか、はたまた罪を擦り付けられたのか。
ひとところに留まれば、見つかり消されてしまう男と羊の逃避行。
その逃げる理由は、ただ「生きたい」というシンプルなもの。
ただし、逃げ続け、常に死が追いかけてくるような生活は精神がすり減っていく。
ガーネットタウンで出会った娼婦のストッキングを引き裂いたのも、自分が今生きている、生きていたという証をこの世に残すため。

ここで行ったことがきっかけで、
彼がこの世に生きていたという証=子ども
が彼の死後に誕生するのです。

子どもの誕生というのは、彼自身が望み、恋焦がれたもの。
憧れるウォンテッドアンドシープ
ごく普通の家庭で、ごく普通に暮らし、ごく普通の家族で愛情をはぐくむ。
そんな憧れを抱いたのもつかの間、星が降り、悪い予感とともに自分の命の猶予がわずかであることを悟る。
砂漠まで逃げたが、そこが最期の地に。
嫌な予感ほど的中し、自分の命を奪う弾丸が命中する。
自分の予感が的中したことに対する皮肉、見知った人間との会合、もう逃げ続けなくていいという安心感にもにた感情。
それらの感情がぐちゃぐちゃにまざり、出てきた言葉が
さらばロンリー

WANTED AND SHEEPが作られたきっかけ
こちらのインタビューで吉井さんは、
実はスリップノットからインスパイアされて作ったんですよ。
と語っています。
スリップノット(Slipknot)は、アメリカ合衆国で結成された9人組ヘヴィメタルバンド。
あらゆるスタイルを融合させたヘヴィミュージックを得意とし、2000年代から世界各地で人気を博す。各メンバーが、それぞれ異なったユニークなマスクを被ってパフォーマンスをすることで有名。
出典:wikipedia
そんなスリップノットの、VOL.3:(ザ・サブリミナル・ヴァーシズ)というアルバムを聞いて作られたのが、WANTED AND SHEEP。
VOL.3:(ザ・サブリミナル・ヴァーシズ)は「リック・ルービン」という方がプロデュースして作成された。
リック・ルービン (Rick Rubin) は、アメリカ合衆国の音楽プロデューサー
デフ・ジャム・レコードの創始者であり、現在はコロムビア・レコードの共同社長を務める。
2007年には、タイム誌の選ぶ世界で最も影響力のある100人に選ばれた。また、MTVは彼が「過去20年間で最も重要なプロデューサー」だとしている。
出典:wikipedia
そうです。
日本とアメリカという違いはありながらも、「コロムビア」というレーベルで吉井さんとリック・ルービンはつながっています。

WANTED AND SHEEP(YOSHII LOVINSON)の歌詞と意味のまとめ
- 主人公はお尋ね者と羊(WANTED AND SHEEP)
- 話としては、彼の子どもが父親である彼の痕跡を探す過程で知ったこと
- 普通の家庭を築くという幸せを希い、叶わなかった男の生きた証が子ども
- 舞台はアメリカのモンタナ州
- 羊は相棒に最適な動物
吉井さんのお父様が、吉井さんが5歳の時に急逝していること、それでも旅芸人であった父親の影響が風貌にでていること。
そういったこともこの曲を作った理由になるのかもしれません。
乳と子どもの目には見えないつながり、幸せを願ったのに叶わず死んでいくことの無念、それでも最後はもう逃げなくて良いことで感じてしまった安心感。
そういった吉井さんだからこそ描ける芸術がこの曲だと感じています。

イエモンの他の曲の感想、考察もしています!
Balloon Balloonについて今回は書き綴ってきましたが、メジャー、マイナー関係なくイエモン関連の曲で


そう思っていただけるように更新していますので、ぜひご覧ください!

コメントをください。
羊=罪とか、過去とかかな?と解釈していたので、
お尋ね者の彼と、曲を聴いているあなたも何も変わらない、同じ人間だ
という意味かと解釈していました
父親の旅を追う子供という解釈は目からうろこでした
1本の映画のような素晴らしい歌だと思います。
最後の「ほくそえむ」に至っては、映画でも表現できないのではないか?
(やりようによってはできるかもだけど)と思うほどの、
歌・歌詞でしか表現できない素晴らしい
newtさん、コメントありがとうございます!
返信が遅くなりすみません…。
私も一番最初は、羊を何かの比喩としてとらえていたのですが、そのまま「羊」とした方が頼る人がいない孤独な感じが強調されるかな?と書いたような解釈としました。
少しは目新しい考えを提供できたならよかったです。
ストーリー性もそうですがこの短い曲の中で男の激動の人生を追憶できる気がするのは、稚拙な表現ですがすごいとしか言えないです。
吉井さんが自分で選曲したアルバムに収録されたのも納得のすばらしさです…!